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岩澤重夫
いわさわ しげお
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IWASAWA Shigeo
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白韻
はくいん
- White Rhyme
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1996(平成8)
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技法・材質
紙本彩色
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Tecniques,materials
Color on paper
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形状
額装
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Shape
Framed
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- 日本画
- Japanese-style Paintings
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- 平成
- Heisei period.
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116.6×80.8
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雪に覆われた斜面を流れ落ちる一筋の水流。近づきつつある春の到来を予感させる穏やかな陽光のもと、雪は所々で溶けはじめ、地中からは緑の新芽も顔をのぞかせている。岩澤は、平成元年に京都市北西部に位置する山間の町・京北町にアトリエを新築。郷里日田を思わせる美しい杉林と清流に囲まれたこの地の自然は、岩澤の創作意欲をかきたて、以後、作品に繰り返し描かれることになる。本作も京北町周辺の渓谷での取材によるもの。画業の初期においては、西洋の新しい美術思潮を積極的に取り入れながら風景を題材にした構築的な作品を発表するが、その作風は、次第に実在感を感じさせる自然主義的な傾向を強め、大自然の息吹をみずみずしい感覚でとらえ、その雄大なたたずまいを岩絵具を厚く塗り重ねた重厚な画面に表現するようになる。そして平成期に入る頃から画面はさらに壮麗さを加え、四季折々の自然を鮮烈な色彩により描き出す独自の山水様式を確立した。本作においても、水の流れを軸とするシンプルな画面構成には抽象的な作品を手がけていた初期の面影を残しているが、移ろいゆく季節の微妙な表情が繊細な描写によりとらえられ、静けさの中にも自然の息づかいが伝わってくる。